ラグビーにはなぜ「トライ」と「ゴール」があるのか?

10月8日にラグビーW杯の日本対アルゼンチンの試合、見ていた人も多かったと思います。惜しくもアルゼンチンに敗れましたが、手に汗握る試合を見ていて感動しました。海外大会で初となるベスト8入りは果たせなかったですが、また4年後に期待したいですね。

ところで、ラグビーは2チームが楕円形のボールを奪い合い、相手チームの陣地にボールを置くと、「トライ」として5点、その後ゴールキックして左右のゴールポストの間をくぐると「ゴール」として2点の追加得点が与えられます。一番盛り上がる場面はやはり「トライ」ですね。

でもなぜ「トライ」の後に「ゴール」があるのでしょうか? 相手チームの陣地にボールを置いた段階で「ゴール」としたほうがルール的にはわかりやすいし、そのほうが試合を見ていて面白いと思うのですが、不思議に感じている人もいると思います。

この理由は、ラグビーが誕生した頃のルールでは、トライは「ゴールキックに挑戦する権利が与えられる」という意味だったからです。したがって当時のルールでは選手が何度トライに成功してもそれ自体の得点は0点だったのです。

つまり当時のルールでは、トライは文字通りゴールキックの権利を得るための「挑戦」に過ぎず、選手が頑張って多くトライしたところで、その後のゴールキックに失敗すれば得点は入らないので試合には勝てません。

たとえばあるチームが1試合で5回トライしてもゴールキックに1度も成功しなければ0点だし、一方、1試合で1回しかトライしていなくてもゴールキックに成功すれば試合に勝つことができます。これでは選手がどんなに一生懸命プレイしてトライを獲得しても報われません。

また相手チームの反則で与えられるペナルティキックによるゴールは2点だったので、無理にトライを狙うよりも相手チームの反則を誘ったほうが得点を取りやすくなります。これでは試合を観戦している観客は面白くなく、退屈になってしまいます。

そこでルールが改められてトライが重視されるようになり、1948年にはトライ3点、ゴール2点に変更され、その後、トライの価値は1972年に4点、1992年に5点と年々高くなり、現在のルールに落ち着いたのです。

やはり「トライ」で高得点できるほうが見ている観客としても面白いし、試合に熱中することができますね。