歌舞伎から生まれた言葉④

江戸時代から続く日本の伝統芸能の一つに歌舞伎があります。私たちは、そこから生まれた言葉を現在でも日常的に使っています。歌舞伎に由来する言葉についての紹介は今回で終わります。格式ばって難しく感じる歌舞伎ですが、そこから生まれた言葉がたくさんあることを知ると、親しみがわいてきますね。

① 何を聞かれてもだんまりを決め込む。

② 借金をしたままどろんされてしまった。

ドンチャン騒ぎの果てに寝てしまった。

④ ドラマの結末は見事などんでん返しだった。

①「だんまり」とは、真っ暗闇の舞台上でお互いが見えないという前提で、セリフも言わず手探りでスローモーションのように動く芝居のことをいいます。そこから、口をきかずに黙秘を続ける状態のことを意味するようになりました。主に自分に都合の悪い情報を隠す場合などに用いられます。

②「どろん」とは、姿をくらまし逃げ隠れすることです。歌舞伎で幽霊や妖怪が消える時に、大太鼓が奏でるドロンドロンという効果音が用いられるところからきた言葉です。

③ドンは太鼓の、チャンは鉦(かね)の音です。歌舞伎では合戦場の効果音として用いられます。そこから「ドンチャン騒ぎ」は鳴り物を鳴らして騒ぐ意味になりました。主に酒を飲んで歌ったり踊ったりして大騒ぎするような場面で使われます。

④「どんでん返し」とは、歌舞伎の舞台で大道具を九十度後ろに倒し、次の場面に転換することや、その仕掛けのことをいいます。そこから話の展開や物事が正反対にひっくり返ることを意味するようになりました。