銭湯の壁の絵はなぜ富士山が多いのか?

毎日暑い日が続いていますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか? 日中の最高気温が35度超えの日も珍しくなくなり、夜でも30度超えの日が続いています。熱中症に注意し水分補給や休憩をしっかりとって、体調管理には十分に気をつけて下さい。

このように暑い日が続くと、大きな風呂に入ってさっぱりしたい気分になります。毎日、朝・昼・晩と銭湯に行って汗を流してリフレッシュしたいですね。

ところで、昔はどこの銭湯でも、浴室の壁に『富士山』の絵がペンキで描かれていました。ではなぜ『富士山』の絵なのでしょうか? 風呂に入って雄大な景色を眺めて気分転換するなら、富士山じゃなくてもよいのではと考えたことはありませんか?

実は、銭湯の壁の絵には「猿」「夕日」「紅葉」は縁起が悪いとされ描くのがタブーとされていたからです。猿は「客が去る」、夕日は「沈む・景気が悪くなる」、紅葉は葉が赤くなり落ちることから「赤字」「没落」を連想させると言われています。

つまりこれらの絵は、客離れや売上げの減少を招く縁起の悪い題材なので、描くことが避けられてきたのです。そのため夕日ではなく「朝日」や落葉しない「松」が描かれるなど、縁起の良い題材を絵の構図に使っていることが多いのです。

そうした中で最も人気が高いのが『富士山』の絵であり、富士山を含む構図として「西伊豆」「美保の松原」「富士五湖」などが多く描かれました。朝日に映える富士山を中心に青い空や海、緑の深い松などが描かれています。

また、銭湯で一般的に縁起が良いとされる『赤富士』が避けられるのは、浴室内は熱いので赤系(暖色系)の色が敬遠されたからだと言われています。そのため赤富士を描く場合には「朝日に映える富士山」という設定になっています。