野球の始球式で打者が空振りするのはなぜか?

プロ野球などのリーグが開幕するとき、試合の開始前に「始球式」というのがあります。著名人(タレント・政治家など)などが来賓としてピッチャー役となり、バッターにボールを投げるセレモニーで、ニュース映像などで見たことがある人も多いと思います。

ところで、始球式ではバッターはどんなボール球や絶好球が来ても空振りをすることになっています。どうしてバットに球を当てないのか不思議に思ったことはありませんか?

記録に残る最初の始球式は、1892年にアメリカで実施されたウェスタンリーグの開幕試合で、当時のオハイオ州知事で、後に第25代アメリカ大統領となったウィリアム・マッキンリーが客席からグラウンドにボールを投げ入れたのが始まりとされます。

当時アメリカでの始球式は現在の日本での始球式とは異なり、客席から直接グラウンドに向かってボールを投げ入れる形で、バッターもいませんでした。

現在のように始球式でバッターが空振りする慣例は、早稲田大学の創設者でもある大隈重信が行った始球式が始まりで、実は明治時代に日本で始まったと言われています。

1908年、来日したアメリカの大リーグ選抜チームと早稲田大学野球部が対戦する際、記念として日本初の始球式を実施することになり、その始球式でマウンドから投球を行ったのが、早稲田大学の創設者で当時の大物政治家でもあった大隈重信でした。

この時、大隅が投げた球はストライクゾーンを大きく外れてしまい、早稲田大学の1番打者をつとめた山脇正治は尊敬する大隈先生の球をボールにしてはいけないと瞬時に判断し、わざと空振りをしてストライクにしました。

これ以降、始球式においてバッターは来賓であるピッチャー役に敬意を表すために、どんな球でも空振りをするようになったと言われています。

始球式を実施した際に、投球した大隈重信が偉すぎて、バッターが空振りをするしかなかったというのは面白いですね。