皆さんは小学生の頃、音楽の授業でカスタネットを使ったことはありませんか？カスタネットはスペインで発達した木製の打楽器で、日本では昔から学校教育用の楽器として青と赤の２色のカスタネットが使用されています。
カスタネットは、スペインの民族音楽に欠かせない楽器で、スペインの舞踊フラメンコなどに用いられる、指を細かく動かして演奏する楽器です。名前の由来はスペイン語で「栗」を意味するカスターニャから来ています。これは栗の木を加工して作ったから、形が栗に似ていたからと言われています。
実はカスタネットを上手に演奏するのはなかなか難しく、そこで子どもにも簡単に使えるように、指で挟み、閉じて音を出す「ミハルス」という楽器が、日本の舞踊家「千葉みはる」氏により考案されました。ミハルスという名前は考案者に由来します。
このミハルスを改良して、小学生向けのリズムをとる楽器としてカスタネットが作られました。指で挟むミハルスとは違い、現在のような手のひらに乗せて叩く楽器として小学校の音楽の授業で使われるようになりました。
でもこの時には、男子用の「青色」と女子用の「赤色」の2種類のカスタネットが使われていました。これは当時、日本の小学校では男子は青、女子は赤という概念が定着しており、カスタネットも青と赤で男女区別したかったようです。
しかし、このように男女で色を分けたことで製造業者にとって面倒なことが起こります。それは発注されるカスタネットの数が青と赤でそれぞれ異なり、在庫管理が大変だったのです。そこで解決策として男女兼用の青と赤を合わせたカスタネットが誕生したそうです。
つまりカスタネットの色が青と赤になったのは、男女兼用の1種類にすることで効率よく在庫を管理するためだったのですね。こうして誕生した青と赤のカスタネットは、学校用の音楽教材として採用され全国に広まっていきました。
ちなみに、カスタネットは上下が決まっていて、上下の材質や音質には違いはありませんが、青が上面、赤が下面となっているそうです。
