6世紀に朝鮮から日本に伝来した仏教。普段の生活ではあまり意識することはないですが、私たちは仏教に由来する考え方や伝統に強く影響されています。日本語にも仏教から出た言葉がたくさんあり、由来や使い方について説明していきます。まずは仏教に関する言葉がそのまま入っているものから見ていきましょう。
あみだくじで順番を決める。
「あみだくじ」は皆さんもよく知っていますね。室町時代から行われていたようですが、現在のあみだくじの形とは異なり、当時は真ん中から放射線状に人数分の線を書いていました。それが阿弥陀如来の後ろから出ている後光(ごこう)の形に似ているところからきた言葉です。
結果に納得できずに仏頂面になった。
「仏頂面」は、不機嫌そうな顔つきやふくれっ面のことです。知的で威厳に満ちた顔つきをした仏頂尊という仏がいましたが、その顔は同時に不愛想で不機嫌そうにも見えることから、こう言われるようになりました。
進めていたプロジェクトがお釈迦になった。
「お釈迦になる」は、製品が使い物にならなくなったり、物事が壊れたり失敗することを言います。阿弥陀像を作ろうとした鋳物業者が、間違えて釈迦像を作ってしまった失敗からきた言葉だと言われています。
彼は多くの修羅場を経験している。
「修羅場」は、仏教を守る帝釈天と、争いを好む悪鬼である阿修羅とが激しく戦う場所のことです。そこから、激しい闘争が行われている場所や事故現場などを指すようになりました。
お前のような裏切り者は金輪際許さない。
仏教の世界観では、大地の下に黄金でできた金輪(こんりん)があると考えられており、そのいちばん下の部分を「金輪際」といいます。そこから物事の行き着くところを意味するようになりました。
2人は阿吽の呼吸で作業をしていた。
古代インド文字である梵字では、最初が「ア」で最後が「ウン」になります。そこから「阿吽」はすべての現象の初めと終わりの象徴となりました。また「阿」は口を開いて発音し、「吽」は口を閉じて発音することから、ぴったりと息の合った状態のことを、「阿吽の呼吸」と言うようになりました。
彼ら四人はチームの四天王と呼ばれている。
「四天王」は帝釈天に仕え、仏教世界の中心とされる須弥山の四方を守る鬼神のことで、持国天(東)、増長天(南)、広目天(西)、多聞天(北)の四鬼神のことを指します。ここから、ある分野や集団の中で特に優れている四人を指す言葉になりました。