愛する人との結婚式で純白のウエディングドレスを着ることは、すべての女の子にとっての憧れです。日本だけではなく欧米を含むキリスト教圏の国々では、花嫁衣装として高い人気を誇るのが純白のウエディングドレスですね。でもウエデイングドレスの長い歴史の中で、純白のドレスを着るようになったのはつい最近の事です。
ウエディングドレスの歴史は古く、およそ6000年前の古代エジプトでは、王族のあいだで結婚式の時にウエディングドレスが着られていました。2500年前の古代ギリシャの時代にも結婚式の花嫁衣装としてウエディングドレスは着られていて、貴族だけでなく平民にも広まっていました。
当時は花嫁が持っている一番良いドレスを金や銀、宝石などで豪華に飾り立てたものを花嫁衣裳として着用しており、現代のように結婚式のためにウエディングドレスを新しく仕立てるということはなかったようです。
2000年前の古代ローマの時代には、貴族のあいだで黄色が縁起の良い色として好まれたため、黄色いウエディングドレスが流行するようになり、この頃から結婚式の花嫁衣裳としてウエディングドレスを仕立てるようになります。
しかし結婚式で花嫁がウエディングドレスを着ると言う風習は、ローマ帝国の衰退とともに廃れ。いつしか忘れられてしまいます。
中世に入ると、古代エジプトやギリシア時代と同じように、花嫁は自分が持っている一番良いドレスを結婚式用に仕立て直して着るようになります。またキリスト教が広く普及した結果、人々は教会で結婚式をあげるようになります。
キリスト教の影響により、この頃にはキリスト教の儀式の時に着ていた黒色のドレスと白いベールが花嫁のウエディングドレスとして使われるようになります。今から思うとずいぶん地味ですね。
14~16世紀のルネサンス期に入ると教会の力が弱まり、ウエディングドレスも色鮮やかで華やかになっていきます。そして17~18世紀の絶対王政の時代になると、ヨーロッパの王族や貴族は自分の権力や財力を示すため、競って華やかな結婚式を行うようになり、ウエディングドレスもどんどん豪華で派手になっていきます。
さて現在のように、結婚式の花嫁衣装として白いウエディングドレスが広まったのは1840年、イギリスのビクトリア女王が結婚式で純白のウエディングドレスを着たのがきっかけだと言われています。
白いウエディングドレスを着た女王の清楚なスタイルは新聞や雑誌で大々的に取り上げられ大きな注目を浴びました。純潔や無垢の象徴である「白」を身にまとった女王の姿は当時の多くの人々に衝撃を与えました。
その結果、ヨーロッパの王族や貴族のあいだで、花嫁が結婚式で純白のウエディングドレスを着ることが大流行します。また産業革命で豊かになった中産階級の人々にも純白のウエディングドレスが広がっていきます。
もともと「純白」の布地は値段が高価で汚れやすく、庶民にはぜいたく品でしたが、この頃には産業革命が進んで機械による大量生産が可能になり、安く提供できるようになったのも白いウエディングドレスが広まった理由の一つと考えられます。
こうして19世紀後半以降、結婚式の花嫁衣装として純白のウエディングドレスが使われるようになります。現在では白いウエディングドレスは花嫁衣裳の定番として、キリスト教圏を中心に世界中で使われていますね。
現在のように結婚式で花嫁が純白のウエディングドレスを着るようになったのは、今から170年ほど前のことだったとは意外ですね。