江戸時代から続く日本の伝統芸能の一つに歌舞伎があります。私たちは、そこから生まれた言葉を現在でも日常的に使っています。歌舞伎がもとになった言葉には身近なものがたくさんあり、今回から複数回に分けて、言葉の成り立ちと意味について紹介していきます。
① 引退の花道を飾る。
② 彼はプロ野球界の千両役者だ。
③ 家に侵入したどろぼうと大立ち回りを演じた。
④ 僕は常に三枚目だが、兄は二枚目なのでうらやましい。
①「花道」とは、歌舞伎の舞台に向かって左側の客席の間を通して作られた細長い道です。舞台の延長となっていて、役者が登場したり退場したりすることもあります。退場するときに見せ場を演じることが多く、そこから『最後に華々しく活躍する場』という意味になりました。
②「千両役者」とは、能力が高く目立った活躍をして周りを魅了する人のことです。もとは1年間で千両稼ぐ人気役者のことを言いました。今ならさしずめ1億円プレイヤーといったところでしょうか。
③「立ち回り」とは、役者が殴り合いなどの闘争場面を演じることで、特に激しく規模の大きなものを「大立ち回り」と言います。そこから取っ組み合いなどの派手な喧嘩を指すようになりました。
④「三枚目」はユニークで面白い人、「二枚目」は美男子つまりイケメンのことを指します。江戸時代、歌舞伎の芝居小屋には八枚の看板が掲げてあり、そこに出演する役者が描かれていました。
その順番に意味があり、一枚目は主役、二枚目は美男子役、三枚目は道化役など、その演目での役柄を示していました。看板の順番から「二枚目」「三枚目」という言葉が生まれました。
ちなみに「二枚目半」という言葉は、二枚目と三枚目の特徴を兼ね備えた人。つまりイケメンでなおかつ個性的でユーモアのある人のことを指します。