4月は学校や学習塾など、多くの教育機関にとって新年度の始まりの時期になります。新年度から新しく学習塾に入塾してくる生徒もたくさんいます。またこの時期には新学年に合わせた特集記事を組んだ学習雑誌や受験専門誌なども書店に並びます。
ところで、書店に並んでいる月刊誌を眺めると、そのほとんどに1~2か月先の号数がついていますね。たとえば4月発売の月刊誌の号数は5月号となっていることが多いです。4月発売の月刊誌なら4月号とした方がわかりやすいのに、なぜこんな習慣が始まったのでしょうか?
雑誌は基本的に売り切れとならない限り、次号が発売されるまでの一定期間(月刊誌なら30日間)は店頭で販売されます。たとえば3月10日発売の月刊誌の号数を「3月号」とすると、4月10日までは店頭で販売されますが、4月に入れば賞味期限切れで買ってもらえなくなる可能性が高くなります。したがって雑誌を販売する出版社としては、実際の発売日よりも先の号数を表示する方が読者に良い印象を与えることができます。
実はこの習慣が始まったのは大正時代からで、当時の婦人雑誌の激しい販売競争がきっかけとなったそうです。これにはいくつか理由があります。当時は全国に配送するのに時間がかかり、雑誌が書店の店頭に並ぶのが遅れる地方があったこと。また婦人雑誌では季節を先取りした内容の記事が多かったことが挙げられます。
それから当時の出版社にとっては、発売日を特定の日に集中させないことも重要でした。たとえば4月号を4月に出すとすると、多くの出版社は1日でも長く書店に雑誌を置きたいので、発売日は4月1日に集中してしまいます。これでは自社の雑誌が目立たなくなるし、雑誌を扱う書店のほうも大変です。
実際の発売日より数か月先の号数を表記した雑誌も現れるなどして書店や読者を混乱させることもあったので、1986年、日本雑誌協会により自主規制が制定され、雑誌の号数については、週刊誌は発売日から15日先、月刊誌は発売日から40日先の月日まで表示できるようになりました。そのため現在では1~2か月先の号数がついた月刊誌が店頭に並んでいるのです。